ハイブリッドDCヘッドホンアンプ 2015年3月
ハイブリッドアンプはトランジスターの音では得られない真空管の味を提供しようとするものである。これまで、パワーアンプ、プリアンプと製作を進めてきた。今回はヘッドホンアンプの製作である。初段に真空管を用いたハイブリッドアンプでは出力オフセット電圧の発生が課題であった。従来、その出力オフセット電圧を低減するために、出力コンデンサーを入れたり、DC負帰還を用いるなどによって対処していた。本機では、新たに「DCバランス補正回路」を開発し、DC領域までフラットな周波数特性の得られる完全DCアンプを実現している。

出力オフセット低減方法(DCバランス補正回路)


増幅部は初段に6111Wを用いた1段増幅構成アンプである。初段真空管によるV−I変換、引き続くトランジスターによってI−V変換をして、終段はトランジスターによる2段ダーリントン出力としている。42Ω負荷にて1.2Wの出力を得ている。

増幅部回路図

歪率特性

周波数特性

方形波応答波形(20kHz、ヘッドホン負荷、上:出力 下:入力)

方形波応答波形(100kHz、42Ω負荷、上:出力 下:入力)

本機は、高域での明瞭感や切れ味があり、それでいてシャリシャリ感が抑えられ、中域でも付帯音を感じさせないアンプに仕上がった。